「おじいちゃんの宝物、見つけたよ!」
鉄の箱を抱えて、私は海沿いを走っていた。遠くから潮騒が聞こえた。祖父母の家で過ごす夏休みも三日目――たった一枚のメモが、この日を特別な日に変えることになるとは、その時はまだ知らなかった。
朝、祖母が朝ご飯を作っていた。祖母の手捌きは、昔から変わらない。その音と、外から聞こえる川のせせらぎが調和していた。音を聞きながら、朝ご飯を楽しみにしていた。その時、テーブルの上に黄色いメモ用紙が落ちているのに気付いた。「すべての宝物は松の下に」と書いてあった。
「おばあちゃん、これ……」祖母にメモを見せた。
「ああ、それならさっき、ここから出てきたのよ。確かにじいちゃんの字だわ」と祖母が佃煮を温めながら答えた。
「ええ、本当?他の人の字じゃない?」私は疑った。こめかみを押さえて深く考え始めた私に、「病気になった後、字が下手になったのよ」と祖母は言った。
「じいちゃんは昔から、はっきりした理由がなくても、すごく自信があるように話す人だったの。『明日は大漁だ!』なんて言ってたけど、それはただのはったりだったと思うよ」
「近所の人が大げさなお話だって笑っていたことは、じいじゃんに筒抜けだった。でも、あの人は本当に図太くて、どんな時でも慌てなかったわ」祖母は笑いながらそう続けた。
「じゃあ、この松の木って……?」祖母に木の場所を聞いた。
「昔、じいちゃんが海のうねりを見る時、その松を目印にしたの」
「えっ、どこ?教えて」私がせがむと、祖母は場所を教えてくれた。
30分ほど歩くと、大きな岩のそばに松の木が見えた。その近くを掘り続けていると、何か硬いものに当たった。鉄の箱だった。蓋には「勇作」――祖父の名前が書かれていた。
中には金の縁取りをした手帳が入っていた。手帳を開くと「干潟に逃げた魚たちを捕るには……」と捕る方法が詳しく書いてある。その横には「昨日、また苗代の水管理を忘れた……」という日常の話も書いてあった。読み続けるうち、①胸が熱くなってきた。これは、5年前に認知症になってしまった祖父が、記憶が消えないように努力した印だった。
夕方、私が海で手帳を読んでいると、後ろから足音がした。祖父だった。彼は沖合に泊まっていた船を眺めていった。夕日を浴びた祖父の生え際に汗が光っていた。その姿を見ると、空気が淀んだ気がして苦しくなった。
夜、私は手帳をテーブルに置いて、今日のことのあらましを話した。祖母から祖父のことを色々聞いた。話を聞きながら、あのいかつい顔の奥に、思いやりのある優しい心があることに気付いた。また、祖母が言った言葉――「漁師の誇りは海にあり」が心に残った。
翌朝、私が手帳をもう一度開いてみると、最初のページに新しい日付で『勇の宝物は孫が継ぐ』と祖母の字で書いてあった。私はまた②胸が熱くなった。歩くのさえ介添えが必要なお年寄りが海を感じられるようになるために、私は誰かの力になりたい――私は初めて自分の「誇り」を探し始めた。
問題1: 祖母はメモの内容についてどう考えていますか?
問題2: 下線部分の①「胸が熱くなってきた」理由は、次のどれですか?
問題3: 下線部分の②「胸が熱くなった」きっかけは、何ですか?
問題4: 主人公が「自分の誇りを探し始めた」直接的な理由は、何ですか?
問題5: 次の出来事を正しい順番に並べなさい:
a. 松の木の下から鉄の箱を掘り出す
b. 祖母から祖父の過去を聞く
c. 黄色メモ用紙を発見する
d. 手帳の最初のページに気付く
問題6: この文章で最も強調されているテーマは何ですか?
二、请用每个单词造句,并填写在对应输入框内。